IT のハンドルを握るのは誰か

Biz
文字数:9,988字 | 読了目安: 約13分 | 公開日:2019.05.10 | 更新日:2023.07.15

IT産業からの異業種参入に市場を奪われるデイスラプターの脅威、デジタルトランスフォーメーション(DX = Digital transformation )に乗り遅れるな等々、メディアには不安を煽る見出しが踊ります。

一方で、マスコミの言うことを話半分に聞くことに慣れているのか、バズワードに踊らさらない確固たる信念があるのか、デジタル化の取り組みが遅々として進まず、漫然と時間が過ぎ去るのを見過ごしているところも多いように見えます。

今回は、世の風潮に流されることなく、デジタル化の本質と核心にフォーカスして活用の方法を考えてみましょう。

デジタル化の波をどうとらえるか

マスコミの片棒を担ぐわけではありませんが、早くデジタル化の本質に気付いて取り組まないと日本のアドバンテージがどんどん失われています。IT 業界を見ても、製造業が置かれている状況を見ても、中国や新興国勢は確実に進化、成長しています。

まだまだ、日本の強みはあるけれど、デジタル化・IT化に積極的に取り組み、より付加価値の高いビジネスへと進化、発展させていかないと、新興国勢にキャッチアップされ、追い抜かれることは間違いありません。日本企業も日本社会も、より本質的な次元でデジタル化・IT化に取り組む必要があります。

属人化の排除・暗黙知の見える化

日本企業の強みは現場にあります。一方で、特定の個人に依存したノウハウや技術が多く、こうした技術は共有して管理することが出来ず、文書化・標準化も出来ず、次世代に伝えることも難しくしています。ITを活用するには、暗黙知の見える化ノウハウや技術の文書化・標準化が欠かせません。

しかし、自らのノウハウや技術を属人化したままにしておき、会社内での地位確保に利用したい人もいます。ここは時代の常ですが、産業革命の時には自動織機を破壊するなど、機械化に反対するラッダイト運動がありました。蒸気機関車による鉄道敷設について、馬車を運営する組合が反対していたとか。

キャッシュレスやスマホを嫌っている人、IT を嫌っている人は年配の方を中心に少なからずいらっしゃいます。いつの時代も新旧の世代感覚には大きな断絶があるものです。時代毎の技術変化と人との関わり、技術変遷期の古い技術や人材の有効な活用の仕方などについても良く考えましょう。

バランスをとる

新しい技術に飛びつくだけでも、古い技術にしがみつくのもよろしくありません。技術を評価して、長期的な視点で俯瞰した上で技術を変遷させていくことが必要です。新しい技術を単純に受け入れたり、儲かれば良いという経済市場主義のようなものからは距離を取ることも大切です。

現代は、世界全体で資本主義の暴走を止めなければならない時代です。儲かれば良い、利益を独占出来れば良いという投資スタイルに何らかの歯止めをかけないとなりません。

また、地球環境の著しい悪化を考えれば、技術に出来ることはたくさんあるはずです。人類には、技術を正しく使うことが求められています。

技術と人間の関係

近年の技術は家電から自動車まで、モジュール化、ブラックボックス化が進み、修理が出来ない構造になりました。結果として、人間は家電や自動車がどのように動いているかわからなくなってしまいました。昔は、街の電気屋さんでも家電製品を修理出来ましたが、徐々にモジュール単位で交換するだけになり、最近では買い換えた方が安いという状態にさえなりました。

こうした現状は歪んだ社会構造の温床となりつつあります。経営戦略においてスマイルカーブ曲線という概念があります。企画・開発などの上流工程とエンドユーザーとの接点になる販売・教育の下流工程に付加価値が移行していて、真ん中の製造工程の価値が下がっているという分析です。確かにアップルやARMに代表されるような企業は自社では製造を行わず、ホンハイやTSMCのような EMS = Electronics Manufacturing Service に製造を委託することで大きな利益をあげてきました。

しかし、ファブレス戦略をもてはやして利益の最大化を追求しているうちに、多くの先進国企業がものづくりを忘れてしまいました。先進国では雇用が失われ、産業が空洞化します。さらには、世界の工場となった中国への依存度が高まりすぎたことが、世界の軍事バランスにも影を落としつつあります。

米中戦争で半導体業界のTSMCが鍵を握っていることが象徴的で、いわば中間領域の逆襲にあっているともいえます。技術の暴走を止めると言う意味でも、技術は人の手に近いところにをおかないとならないのです。そのために、人の側が技術や知見のレベルを高めることも必要です。同時に技術開発においても、人を介在させることによる持続可能性まで考慮した製品化、サービス化を考える必要があります。

こうした中間的な技術や社会における技術のあり方については、重要なポイントなので別の機会にも取り上げたいと思います。KJ法で有名な文化人類学者の川喜多二郎氏、スモール・イズ・ビューティフルのE・H・シューマッハ氏、ドームハウスで有名なバックミンスター・フラー氏の著作などが参考になるでしょう。

人の共存する技術開発

社会全体では、高齢者や貧困層への適切な教育機会を提供するなど、デジタルディバイドの問題に対処することが必要です。しかし、ビジネスの世界では、新しい技術を拒絶し、従来のやり方に固執するだけの人が淘汰されるのは、やむを得ないことでしょう。

しかし、デジタル化やシステム化に協力的な人でも、本人も意識していないような経験と勘を頼りになされている仕事を、うまく言語化出来ない人もいます。ここは重要なポイントです。デジタルだけに依拠した技術は、すぐにコピーされ、陳腐化するリスクにさらされます。

一方で長年の経験に裏打ちされた技術や、泥臭いサプライチェーンなどから生み出される競合優位性はまだまだ残っているのです。マッキンゼー出身の加藤勇志郎氏の創業したキャディ株式会社のプラットホームサービス CADDiは、町場の板金工場をネットワークし、板金加工業に革命をもたらす存在として注目されています。

比較的、デジタル化しやすい切削加工と射出成形業務においては、米国の Proto Labs という会社の先行事例があります。クラウドを活用してツールパスを計算して自動生成するなど、3次元データからの見積を自動化し、短納期・低コストのサービスとして展開しています。しかし、板金加工は加工形状や工場や設備や職人毎に技術やノウハウが千差万別で標準化が難しい分野です。

創業者の加藤氏は、IT化するにあたり、実際に板金工場で3ヶ月無償で働き、現場の感覚を学んだと言います。CADDiは、ITを理解している人間が、アナログ的、暗黙知的な世界にどっぷりつかることで、新たな価値を生み出した好例と言えるでしょう。

あらゆる業界に、こういうアナログ的で暗黙知的で、単純にシステム化出来ない膨大な領域が残されているはずです。ビジネスチャンスは無限にあることでしょう。

あなたの身近にも

おそらく、あなたの身近にもこういう業務がころがっているはずです。実際、絶妙なバランスで成り立っている業務や複数の部署やシステムにまたがる領域の業務をシステム化しようとすると、とたんに定義が難しくなる要件も少なくありません。しかし、そうした部分が業務上の重要な鍵を握っている場合が多いのです。

そこをどう解決するかはケースバイケースで万能な方法はないのですが、考え方の例をもう一つ挙げるとすれば、いまや世界ブランドとなった日本酒の獺祭があります。

杜氏の勘と経験に頼っていた酒造りを、徹底的に実験とデータ分析を繰り返すことで科学的な手法を確立し、杜氏がいなくても日本酒作りが出来るようになったといいます。杜氏がいなくては日本酒造りは出来ないという常識を覆したわけですね。暗黙知から形式知、科学的手法への転換のわかりやすい事例の一つと言えるでしょう。

地道さの重要性

科学的手法には実験と観察、冷静な分析、考察が必要です。高度経済成長期〜平成までは、商機を見て勢いでがむしゃらに動くビジネスが成功してきました。しかし、これからの時代は、そう単純なビジネス領域は残っていません。また、日本製造業の強みである長年の経験と勘や濃密な人間関係をベースにすり合わせで成立してきたような仕事も、人材育成の難しさ、変化に対応するスピードが遅くなることなどから時代にマッチしなくなっています。

日本酒作りで言えば、いまや、昔ながらの方法で杜氏を育成するのは難しいでしょう。職人の世界でも、厳しい修行を前提とした業界は人材難に見舞われることになります。

話をデジタル化に戻しますと、経営者が「うちもAIやIoTで何かやれ」とか言い出して、むりやりなAI/IoT案件が発生している状況も散見されます。デジタル化、IT化に限らず技術を活用するには、長期的視野と継続性、体系的な取り組みが欠かせません。何らかの IT サービスや製品をポンと導入して、うまく行くようなものでもないのです。

ITサービスや技術を売りたいベンダーや販売店は、そのサービスや技術を導入すればバラ色の世界があるかのように喧伝します。しかし、テレビコマーシャルを見るようになったり、展示会で派手に立ち回っていたり、販売店の営業が売り込んでくるような状況になったら、莫大な広告費と販売管理費が上乗せされているわけで、そのサービスは割高だと思った方が良いでしょう。

また、それだけ大きな市場をターゲットとしているわけですから、より汎用化されていると思わなければなりません。汎用化されていても適切に抽象化されていれば良いですが、設定項目が多すぎて使いにくくなったり、不要な機能に煩わされることも多くなります。操作系が増え、複雑になれば、使いこなすのが難しくなっている可能性もあります。

そして、同様のサービスや技術は、同業他社も導入している可能性があることを意識する必要もあります。つまり、ビジネス上の差別化になっていない、付加価値の創出につながっていない可能性があるのです。

汎用性と最適化

例えば、TVコマーシャルでも有名な名刺管理サービスがあります。名刺を社内で共有すること自体に意味がないわけではありませんが、その名刺からどういうインテリジェンスを得て行動するかこそが重要です。

相手先の会社はどういうビジネスをしているのか、担当者はどういう立場か、自社の担当者とどういう商談をしたのか、既存顧客であれば既存の取引傾向はどうか等、多様な情報を統合して次のビジネス判断につなげる必要があります。

名刺管理サービスだけ、ぽんと導入してうまく回るものでもありません。CMのような呆けた社長が重要なキーマンの名刺を持っていたことを早期に把握できたとして、それで営業がうまく行くのでしょうか。

いわゆる CRM=Customer Relation Management、顧客との商談管理、案件管理システムとしての営業支援システム、SFA=Sales force automation があってこその名刺管理システムです。もちろんシステムの前に、情報を共有し、相互に協力しようとする社内文化こそが最も重要です。その上で、CRM でもビジネスチャットでも、適切なシステムを組み合わせれば良いでしょう。

また、既存顧客の取引状況などから営業計画を立案したり、営業活動を効率化する視点も必要です。そうすると、基幹業務ソフト、ERP=Enterprise Resource Planning、販売財務システム・会計システム等から抽出した既存の売上分析、見積分析等も重要で、既存顧客や新規案件を含め、ビジネス情報を出来るだけ、一元的に管理することが望まれます。

ここに人間の関与する余地、人間の重要性が残っているわけです。AIやITだけでは、ビジネス上の競合優位性も維持出来ないわけです。AIやITの製品・サービスを導入しただけで競争力に差がついたのでは、資本を持っている大企業が優位になってしまいますが、大企業という組織では専門分化が進みすぎていて、部門間の調整や意志決定が複雑になり、既存のビジネスに拘束されていることから決定的に機動力にかけます。

AIやITに、人を掛け合わせることが出来れば、中小零細企業に大きなチャンスがあるのです。

情報の一元化と共有

ことITのこととなると、ベンダーに丸投げだったり、パソコンに詳しい若手にまかせきりになってしまいやすいものです。具体的にプログラミングのことやIT技術がわからなくても、業務上、どうあるべきかを定義することは出来るはずです。とにかく、経営者から実務担当者まで、自分のこととして、ITの戦略的な活用を考えるべきです。ハンドルを握るのは誰なのかを意識しましょう。

常に意識しておかないと、右だ左だと言い合ってみんなでハンドルを操作してあらぬ方向に行ってしまったり、あるいは誰かが操作していると思ったら誰もハンドルを握っていなかったなんてことが起こります。

優秀な大工はカンナを自分で研ぎ、刃先を自分で調整します。一定期間で専門の研ぎ屋に出すとしても、日々の道具の調整は自分でやるものです。現代の仕事人にとって、パソコンやシステムは重要な道具です。その調整を自分ですること、少なくとも自分で理解しておくことは当たり前に必要なことです。

ブレーキばかり踏む人

ユーザー企業における情報システム部門は、守りに片寄り過ぎてきました。社内のヘルプデスクみたいな状態で、パスワードを忘れたとか、OSのアップデートが出来ないとか、些末な対応が主業務になってしまって、保守的、後ろ向きになってしまっているところも多いのではないでしょうか。

ブレーキを踏む人や運転に文句言う人はいてもアクセルを踏んでハンドルを操作する人がどうしても少なくなります。一方で、どこに向かうかも指示せず、とにかく前に進め、とアクセルだけ踏む経営者も少なくありません。

ちゃんと運転しよう

最近になってようやく、ユーザー企業内部で戦略的にITに取り組んでいる事例も見聞きするようになってきました。ユーザー企業内部でAWSソリューションアーキテクトを取得されている方を見かける機会も増え、攻め寄りの案件を推進している傾向がありそうです。

業務に密接に関わる部分でITを戦略的に活用していくには、業務を良く知っている人がITシステムの導入から運用までハンドルを握っている必要があります。各部門の各担当者が当事者意識を持ってITを活用することが重要です。

ITシステム全体を俯瞰する

経営トップから現場の担当者までITシステムをビジネスのインフラとして、共通言語として活用するべく当事者意識を持つことが最も重要です。その上で、ITの専門家を活用しましょう。自社の業務や市場環境、実務にマッチしたITシステムが、そこいらへんに売っているわけではありません。自前で作るか、既存のパッケージソフトで構築するか、ERPやCRMなどの業務システムを自社業務に合わせてカスタマイズするか、多様な解があります。

業務系ソフトベンダーに依頼する場合は、いわゆる「ベンダーロックイン」にも気をつけないといけません。ベンダーのシステム上にデータが蓄積され、ビジネスロジックについてもそのシステム上でカスタマイズを行っていれば、そのベンダーのシステムから他社システムに移行することが難しくなっていきます。

ちょっとしたビジネスロジックの変更でも、ベンダーにカスタマイズを依頼しなければならず、時間的・費用的なボトルネックになっていきます。こうした状況を「ベンダーロックイン」と言います。

出来るだけ不用意なベンダーロックインは避けたいものです。もちろん、避けて通れないロックインもあります。ある意味、Windows OS を使うこともマイクロソフトへの依存、ベンダーロックインです。

しかし、業種にもよりますが、Windowsを使わない選択枝を採用することは難しいでしょう。もちろん、macOS / iOS / Android などの選択枝もありますので、そろそろ Windows ありきも見直しても良いのですが、この話はまた別の機会に取り上げましょう。

オーナーシップを意識する

何と言っても自主性と当事者意識が重要です。二段階認証も知らないキャッシュレス決済会社の経営者とか、専門外の官庁で大臣に就任する政治家とか、社会における当事者意識の欠如は深刻な問題です。上から下まで事業を推進する決定権者としての当事者意識が欠けていることは、日本企業の問題として大きな影を落としているように見えます。

米国の会社と付き合っていると打ち合わせの場で重要なことが決まりますが、日本の会社はたいてい持ち帰ります。そして、メールのCCや会議で情報を共有しているうちに何となく合意を形成していく日本企業のやり方は、時間がかかることの弊害はもちろん、誰が意思決定しているのか、誰がハンドルを握っているのか、わかりにくい構造になっています。

もちろん、全員が当事者意識を持っているのであれば、そういう組織形態、意志決定もありなのですが、上から下まで責任を取らないで済むように、意思決定しないで済むような手続きに慣れきってしまっているようにみえます。

狩猟型か農耕型か

日本社会は農耕型で欧米は狩猟型と言われます。確かに欧米企業は短期の業績を追いすぎている傾向は否めず狩猟型かもしれません。一方の日本は農耕型かというと意外と疑問符が付きます。長期的な成果を求めるならビジネスの土壌としてのシステム、蓄積されるデータを醸成する意識、全体の関連性を俯瞰するポートフォリオ管理的な思考が必要なはずです。

しかし、2000年以降、日本の経営者もビジネス文化もあまりそういう志向になっていないのが実情でしょう。コンテンツを扱う出版社や映像制作会社など、本来はもっとデータベースやアーカイブ志向を持っているべき業態でも、そうした志向性を持っている組織や経営者はあまり見たことがありません。

豊穣なコンテンツの土壌から価値を生み出すような発想が出来る人が見当たりません。書籍の人は台割り、映像の人はタイムラインに拘束されすぎていて、検索とランダムアクセスによるデータ活用というITの強みを活かした発想が理解されていないのです。

製造業や建設業においても、勘や経験に頼りすぎていて、図面、仕様書、技術資料、Cadなどのデータという資源を活用するという視点が希薄に見えます。

フロー型かアセット型か

高度経済成長期はフローでビジネスがぐるぐる回って、儲かった時代です。新しい商品を出せば売れた。新しい顧客を開拓すれば売れた時代です。現在、中高年の管理者や経営者は、そんな経験を積み上げてきたせいか、フローを追いかける指向性が強すぎるように感じます。

フローを追いかけるだけでなく、自社の資産=アセットも見直しましょう。社内に埋もれているデータをデータベース化し、多様な視点から分析して、再構成して価値を構築するという活動が資産となり、次なるビジネスを生み出してくれるのです。

データは資産

ビッグデータというバズワードが数年前から流行し、統計学のビジネスへの利用が進み、営業やマーケティングの分野では、データドリブンの手法が広まっています。

データは自社の資産です。どのようなシステムを利用していても、自らが保有者として、バックアップの意味合いも含め、他システムへの移行が可能な状態にしてデータを保存しておくべきでしょう。

データを適切に管理し、編集を行うことで、付加価値の創出につなげていくことが重要な時代です。データの活用については関連記事でも考察しています。

また、データとロジックを分離して考えることも必要です。ほとんどのシステムは、そのデータをCSV (Commma Separated values )や XML ( Extensible Markup Language )等の汎用フォーマットで取り出すことが出来るはずです。

逆に取り出せないようにしているシステムは、ロックインを狙っているものとして警戒しないといけません。

システムに実装するビジネスロジックも自らコントロールすることが必要です。そのためにも、基幹業務、汎用的業務は既成のERP/CRM/SFA等のシステムを活用したとしても、自社に合わせてカスタマイズしたい業務、独自の分析をしたい業務は、CSV等でデータを取り出したり、データベース接続機能等を利用して、用途毎、業務毎のサブシステムを独自に作ることが有効です。

サブシステムは、業務を理解しており、そのシステムを使う現場のスタッフが使いやすいものである必要もあります。オープン系の技術やパッケージソフトを活用して、出来るだけシステムを内製化することが理想です。

デジタルトランスフォーメーションは、まさにすべての企業が IT 企業化するという文脈で語られるものです。少なくとも業務に密接な部分での IT は、自らコントロール出来る状況を作る必要があります。

ITに適応し進化し続けることが、次の時代を担う競争力となるのです。IT費用は短期的にコストして見るのではなく、投資に位置付けることです。

IT パートナーを見つけましょう

IT のハンドルを握り、自らコントロールするためには、IT 人材の活用が鍵になります。

・自社でIT人材を雇用する
・外注先として適切なITパートナーを見つける

多様な形態が考えられますが、いずれにしろIT人材の活用が事業の成否を左右する時代になったと言っても良いでしょう。最近、日本でもようやくITの重要性を理解した企業がITの活用に本格的に取り組み始めています。

ただ、IT人材の確保あるいは教育にはいろいろな課題があります。優秀な IT 人材を獲得するために厚遇すれば、既存の人事体系にマッチせず、一般社員のモチベーションに悪影響が出ることも懸念されます。

IT 人材の活用については、以下の記事で詳しく考察します。

IT という新しい乗りもののハンドルを握る準備は出来ていますか。市場環境、業務内容、自社の持つ経営リソース、経営的な戦略性と IT 活用を地道に緻密にマッチさせていきましょう。ITシステムにオーナーシップと当事者意識を持ち続けながら、適切なITパートナーを見つけてください。

参考書籍

獺祭

IT全史

産業革命と民衆

関連記事

タイトルとURLをコピーしました